【第10回】 産学共同で新たなニーズに応える
- カーボン・ナノ・チューブを銀めっきに混ぜたら……
さて、河合さん。サン工業が開発した新技術、カーボン・ナノ・チューブ複合銀めっきの特集シリーズも最終回なので、開発に至った経過や背景、さらに、今後の使用用途などについて話してくれますか?
まず、この技術開発は、信州大学工学部との共同研究ということでしたよね?
「そうですね、この技術開発は、CNT世界的権威である信大工学部の遠藤守信教授との共同研究でした。世界の最先端を行く方のお力を借りて技術開発柄を進めることができたのはとてもラッキーだったと思います」
独力で、共同研究にこぎつけたのですか?
「おかげさまで、文部科学省が認定する知的クラスター創成事業として取組むことができました。これも大変恵まれたことだったと思います。知的クラスター創成事業というのは、特定の技術領域に特化し、地域の知的創造の拠点である大学や公的研究機関などを核として、国際的に競争力のある技術革新を進めることを目指す事業です。そこで産学共同で研究を進められたからこそ、開発できた技術だと思います」
ところで、そのCNT複合銀めっきは、どんな用途が期待できそうなのかな?
「一番初めにも言いましてけど、やはり、電気接点特性の向上と耐久性の向上を活かせるめっき加工ということになりますよね。だから、例えば、各種のスイッチ、そして端子、接点部品、コネクター、それに滑らせて動かすような部品―摺動部品というのですが―、そういうところで、今までの銀めっきや、他の金属を混ぜた硬銀めっきよりも、適しためっき処理ができるということだと思います」
河合さん、今回はありがとうございました。
企画・執筆/毛賀澤明宏