【第7回】CNT複合銀めっきは、銀より接触抵抗が低い
- カーボン・ナノ・チューブを銀めっきに混ぜたら……
サン工業が新開発したCNT複合銀めっきについて、開発課の河合さんに聞くシリーズの2回目。
前回(第9回)は、CNT複合銀めっきは銀の電気の伝導性はそのままで耐久性を高めることができるという話でしたよね。さらに、それ以外にも良い数値が出ている点があるそうです。では、河合さん、今回はそれを教えてください?
でも、分かりやすくね。
「え、前回だって分かりやすかったでしょ(笑)」
え?まぁ、ねぇ……(苦笑)
「分かりました。私立文系の方にも分かるように、さらに噛み砕いてご説明しましょう(笑)。当社が新開発したカーボン・ナノ・チューブ複合銀めっきは、導電性・耐久性の良さの他にも、接触抵抗が低い、耐硫化特性に優れているという点が数値で示されました」
は?接触抵抗……?
「接触抵抗というのは、端末など電気を通す金属と金属が接触する部分で生じる抵抗のことです。もちろん接触する状態によっても変化しますが、同一条件下では、物質ごとに一定の抵抗値が生じます。これまでは銀めっきが、接触抵抗値が低かったのですが、CNT複合銀めっきは純銀めっきよりもさらに低い値を示しました」
要するに、接点になるような部品のめっきに向いているということだよね。
「そういうことになります。付け加えると、銀のめっきは、時間が経つと、硫化といって、空気中の硫化水素や亜硫酸ガスと銀が反応して黒く変色します。つまり一種の腐食が進むのですが、CNT複合銀めっきは、硫化しても、硫化する前の銀よりも接点抵抗が低い。つまり、接点の電気の通りの良いことが分かったんです」
へぇ~、不思議なことだなぁ。でも何故そうなるの?
「それはカーボン・ナノ・チューブの特性としか言いようがないでしょうね。まだ根拠はよく究明できていないけれど、事実としてそうなるのです」
めっきって不思議だね。
「もう一つ、不思議なことですが、マイグレーション現象が発生する時間を引き延ばす可能性も出ているんです」
マイグレーション現象……?ちょ、ちょっと待って!それはこの次ぎね。
企画・執筆/毛賀澤明宏