【第14回】「無電解めっき」の優れた点・実効性
- 「無電解めっき」初級編
「無電解めっき」の初級知識を聞くシリーズ4回目。前回までで、電気を使わなくても化学の力でめっきができる方法があること。それには置換めっきと自己触媒めっきの二つがあることを聞きました。
で、河合さん! そういう二つの方法がある「無電解めっき」というのは、どういう利点があるの?原理や仕組だけでなく、それがどういう実効性があるのか? 今日はそれを教えてね。
「いいですとも!どんどん聞いて下さい。無電解めっきのメリットの第一は、電気めっきよりも、均一にめっきができるということを上げられるでしょうね」
電気めっきだと、幾分かは、めっきにムラが出てしまうということ?
「めっきする部品の材質や形状によるのですが、なにぶんにも電気の流れ方によってめっきの厚さなどが違ってきます。もちろん、それをクリアするノウハウはいろいろ開発されていますし、サン工業でもそれをたくさん蓄積していますが、一般論として言えば、例えば、ある程度大きな板などは、端っこの方が厚くつきます。パイプ状のものは、パイプの内部にめっきすることはかなり難しい。ムラが出やすいですよね。電気は最も通りやすいところを通ってゆくので、パイプの内側にはほとんど回らないんですね」
無電解めっきだと、電気の流れ方は関係ないから、その点をクリアでき、均一なめっきができるというわけだね。なるほど。その他にも、なにか利点があるのかな?
「今のこととも関係しますが、電気を通しにくいもの、それから電気の接点を取りにくい、極細かな部品とか、細い針金状のものとか、複雑な形をしたもの―そういうもののめっきに向いていますね。ミリ単位の部品なんかは、電気を通してといったって接点が取れない。無電解なら、まぁ、簡単に言えば、漬けておけば良いわけですから、めっきもやりやすいわけです」
良い点ばかり挙げているけど、電気めっきにくらべてデメリットはないのかな?
「そうですね、めっきの速度が電気めっきにくらべると遅くなりますね。化学反応だから、例えば電気めっきなら20分くらいでできるところが、無電解だと1時間ぐらいかかってしまうものもあります。あと、コストが少し高くなりますね。だから、どういう部品に、どういう機能を持っためっきをするか、納期はどれくらいか……などを勘案して、お客様とよくご相談させていただいて、めっきの方法を決めて行くことになります」
なるほどねぇ。じゃあ、そういう無電解めっきで、「これはサン工業ならではのもの」というのを、次の回で教えてくれませんか?
企画・執筆/毛賀澤明宏
無電解めっきで表面処理された部品