【第33回】金めっきのお話 その3
- 金めっきの煌びやかなお話
リオ・オリンピック、パラリンピックは大いに盛り上がった。本気で努力してきた人の笑顔や涙は、なんと心揺さぶられるものか。選手の皆さんお疲れさまでした。
オリンピックといえば、いやが上にも注目の集まるのがメダルだ。「いちばん輝く色」とか「いちばんいい色」のメダルとは、いかにも日本人らしい婉曲的かつ当世若者風の表現だけど、それが表す金メダルが金めっきメダルであることをご存知だろうか。開発課長の河合さんが「銀合金に金めっきを施したものですね」とさらりという。いかにも現実的かつ根っからの技術者風である。
さて、今回は金めっきの方法について。講師はお馴染み児玉さんだ。「まず大きく分けて2つ、電気めっきと無電解めっきがあります。無電解めっきはさらに置換法と還元法に分類されます」
筆者同様、無電解めっきって何?と疑問の方は、このコーナーの「無電解めっき 初級編」をご参照あれ。置換法や還元法についての説明もあり、めっき液の中で繰り広げられる摩訶不思議な電子のやりとりについてまとめられています。
さて、電気めっきと無電解めっきの違いはご理解いただけたとして、両者をどう使い分けるのか。まず電気めっきの方が無電解めっきよりコストが安い。次に前者は、単体の部品の全体にめっきをする場合に使われる。早い話、金メダルを想像してほしい。個物にぐるりと、まるっとめっきするのが電気めっき。対して、プリント基板の配線のように、めっきすべき箇所が島のごとく独立パターンになっていると電気めっきは使えない。この場合は無電解めっきの出番だ。
では、無電解めっきの置換法と還元法はどう棲み分けるか。前者の方が後者より技術的には簡単だ。一方、めっき厚に関しては後者が有利。置換法ではめっき厚0.2ミクロンが限界であるのに対し、還元法では数ミクロンまでめっきできる。
厚みという意味では、電気めっきも得手である。ただこの連載でもたびたび触れてきた通り、電気めっきは角や縁にめっきが厚くつきやすい。寸法精度もさることながら、めっきするのが金だからなるべくムダを出したくない。比して無電解めっきは、厚さのバラツキが少ないそうだ。やるじゃないか無電解。だがそうはいっても、還元法でめっきを厚くするには時間が掛かるし、還元剤もなかなかにお高い。どの方法を選択するかは、お客様の要求、コスト、時間などさまざまの要因を勘案して決めている。とのこと。
サン工業では、銅やアルミ、ステンレス、チタン、真鍮、鉄など多様な素材へ金めっきにできる。製品としても、電気器具の端子やスマホなどの充電接点、オーディオジャック、水栓金具、楽器、アクセサリーまで、同社の技術でカバーできる範囲は広い。 金めっきの御用命は、ぜひサン工業まで。もちろん、東京オリンピックの金メダルも承ります。