【第44回】こんなことができるんだ!分析装置 その6 ナノレベルをスピート解析。新SEM導入予定!
- こんなことができるんだ!分析装置
当コーナーの読者だけにこっそりお知らせです。サン工業の表面解析室に超大物が加入します。どれほどの大物かといったら、大リーグ・エンジェルスへ行った大谷翔平、J1名古屋グランパスに移籍した元ブラジル代表ジョアン・アウヴェス・デ・アシス・シウヴァぐらい。それほどのインパクトだ。
その正体はSEM(走査型電子顕微鏡)である。SEMなら以前紹介したじゃないかって?その通り。つまりSEMがもう一台加わるのだ。しかも前々回登場したGD-OESを上回る投資になるらしい。「うちの非生産装置で一番高額になります」と、今シーズン2種目のインフルでダウンした児玉主任に代わり、開発課河合課長が言う。
その意気や良し。だが、清水の舞台から飛び降りる覚悟で新人獲得に踏み切ったのには訳がある。第一にSEM使用頻度の増加だ。製品数の増加に伴い、お客様からの依頼や不具合検証で観察や分析の機会が近年増加している。一方、開発試作の必要は変わらずあり、一層の研究開発を進めるためにもSEMをもっと活用したい。
第二にSEM使用者の増加である。今あるSEMを購入した当初数名だった使用者は、現在3倍になった。すでに「SEM待ち」状況が発生しており、主にこれを使う開発課や品質保証課では今後人員増も見込まれることから、このままではスムーズな解析、データ取りに支障をきたす恐れがある。 第三に分析精度の不足である。現役のSEMも十分優秀なのだが、解析室にチーム入りして10年が経つ。めっきの精度要求が高まり、ナノオーダーの処理が当たり前になれば、それを確実に見、解析する必要がある。繰り返しになるが、自前で詳細で正確な分析ができ、これをデータで示せることは、サン工業にとって大きな武器だからである。
以上により、業務の円滑化を図り、お客様へのレスポンスを高めると同時に、提案力向上を図り他社との差別化を進めるためにも高性能SEMの追加が必要だと、児玉主任は経営陣に訴えた。インフルのものとは異なる熱意を持って。
仕事への使命感という熱意は、サン工業ではインフル以上に感染する。経営は購入を決断。こうして従来の5〜10倍の性能を備えた新SEMのチーム加入が決まった。しばらくしたら、皆様にもご紹介できるはず。しばしお待ちください。