【第43回】こんなことができるんだ!分析装置 その5 3D画像で目視できる「デジタルマイクロスコープ」!
- こんなことができるんだ!分析装置
超ド級の高額検査装置GD-OESのお次に控えしは、デジタルマイクロスコープである。つまりデジタル顕微鏡。光学顕微鏡は接眼レンズを覗いて肉眼で観察するのに対し、デジタルマイクロスコープは、接眼レンズの代わりにカメラを搭載していて、モニタに観察したものの拡大画像を映し出す。モニタで見られるから、複数の人が同時に観察出来る。情報共有にはもってこいである。
倍率は20倍から5000倍程度で、見えるものはキンケンこと金属顕微鏡に近い。モニタで見られることの他にデジタルマイクロスコープの強みは、やはりデジタルデータを活用できることにある。例えば、製品に何らかの理由でキズや汚れが見られる場合、その長さや面積をモニタ上で計測し、スケールをあてがった画像データを出力することが可能だ。また、高さや深さを持った立体形状の部品をピントの合う深度ごとに順次撮影していき、それら複数の画像を1枚に合成して、全部にピントの合った写真をつくることもできる。撮影したデータをもとに3D画像を作成することだってお手のものだ。しかもカラー画像で。
GD-OESや膜厚計がもたらしてくれるデータの有用性は、各々の回で触れた通り目を見張るものがある。一方、キンケンやデジタルマイクロスコープといった検査装置の有り難みは、これとは別の種類のものだ。彼らは人間の視覚にとって直接的な情報をもたらしてくれる。
「問題解決の基本は三現主義にあり」と言われる。そして、現場で現物に触れ現実を捉える際、求められるのはスピーディな現状把握である。何を置いても人間の五感ですぐに確認できる情報が欲しい。たとえば「この目で見える」こと。その価値はとても大きい。製品の開発段階でも、あるいは不良原因の究明でも、最初の手がかりは大抵外観目視によって得られる情報なのだ。しかもデジタルマイクロスコープなら、デジタルデータを駆使して、現物の現実を分かりやすく示すことができる。速やかに現状を把握できれば、解決策もすぐに講じられるし、もっと詳細な分析が必要になっても的が絞りやすい。
デジタルマイクロスコープも、サン工業のレスポンスの良さと問題解決力の高さを支える強力な武器なのである。