【第41回】こんなことができるんだ!分析装置 その3 元素ごとに計測できる「膜厚計」!
- こんなことができるんだ!分析装置
サン工業が誇る分析装置に毎回登場願うこのコーナー、3番手は膜厚計である。素っ気ない名前だからと侮れないこと前回のキンケンと同様だ。何たって膜厚を測ることができる。え?「当たり前だろ」って。では正確に言おう。サン工業で使っている膜厚計は、蛍光X線スペクトル分析法という手法で、金属表面の膜の厚さを、その膜を構成する元素ごとに計測できる。たとえば、アルミの地金に、ニッケル、銅、スズと順番にめっきをほどこしたとする。それぞれの膜は、仕様に決められた通りの厚みで均一についているだろうか。これを確認できるのが、膜厚計の凄さだ。
膜厚計の原理を開発課の児玉主任に教えていただいたので、簡単に説明してみます。装置のなかで試料にX線をあてる。すると、その試料に含まれる金属は、元素ごとに特有の波長をもった2次X線を出すらしいのです。そこで2次X線の種類と強度を分析する。それぞれの波長から元素に種類が特定でき、強度からは元素の量が確定できるというわけ。
卑近な例として児玉さんが上げてくれたのが、貴金属の買取ショップである。お客さんが純金製だと言ってアクセサリーを持ち込んでくる。店のスタッフはこれを査定するわけだが、その際に膜厚計を使うらしい。もちろん、サン工業にあるのよりずっと簡易な装置だ。測りたいものにX線をあてるのは同じだけど、対象物が発する2次X線を検出する機器の感度が違う。
感度がいいほど、薄い膜を計測分析できる。サン工業のものはすごく優秀で敏感だ。数ミクロン〜15ミクロンの薄い膜もばっちり分析できてしまう。買取ショップの機械はそこまでの精度はいらない。「お客様、たいへん失礼ではございますが、こちらは純金製ではございません。当方で買取させていただく場合、こちらの金額になります」と電卓を弾くことができればいいのだ。
サン工業では、お客様から受注しためっき製品について、この膜厚計でチェックしている。検査装置の話を伺うようになって毎度思うことがある。技術力の高さというのは、それを検査する具体的なデータがあって、初めて中身が伴うのかもしれない。サン工業が胸を張って“Yes! I Can!”と言える強さが分かった気がする。
もうひとつ、膜厚計のレクチャーを受けてはたと思った。サン工業の社員さんにアクセサリーをプレゼントするときは気を付けなくてはいけない。彼らには膜厚計というスゴイ武器がある。