【第40回】こんなことができるんだ!分析装置 その2 分析装置は組み合わせてこそ最大の効果を発揮する!
- こんなことができるんだ!分析装置
サン工業の分析装置を紹介するシリーズの第2弾。登場するのは「キンケン」こと金属顕微鏡である。前回紹介した走査型電子顕微鏡(通称SEM)、この先出てくるグロー放電発光分光分析装置(通称GDOES)と比べ名前は地味だが、こいつもいい仕事をする。
キンケンは金属の表面を見るための顕微鏡だ。その倍率は1000倍でSEMの10分の1。だったらSEMがあれば出番はないのか。とんでもない。検査装置の有用性は倍率だけでは決まらない。両者は守備範囲が違うのだ。たとえばこんなケースを考えてみよう。
製品に何か不具合があるらしい。どうやらごく小さなものだ。かといってやみくもにSEMで見ても埒が明かない。なぜって、拡大しすぎるとその異常が何であるか逆に分からなくなるから。見知らぬ土地の住宅地図をいきなり渡され、そこにある一軒を訪ねなさいと言われるようなものだ。そんなとき我々は、その住宅地図は日本の何県の何市のものか、まず知りたいと思う。つまり、前回もお伝えしたように、SEMは見たい情報が何か分かっている状況で使うべきだ。そこでキンケンの出番である。状況のあたりをつけるのにコイツのスペックはちょうどいい。肉眼に近い状態で見られること、金属がもつ素の色で見られることもメリットである。つまり人間の感覚で、生の情報を得られるというわけ。
当該の製品をキンケンにセットする。SEMと違い試料のサイズを選ばない。これだってキンケンが先陣を切るにふさわしい理由だ。試料表面についているのは、キズかヨゴレか?その形状は?深さや高さは?こんな情報を手っ取り早く得られる。見る人が見れば—つまりサン工業の技術者が見れば—、そのキズやヨゴレがどういう状況において、どんなふうにできたか推定できる。また、見ている画像は撮影も可能だから、お客様にその画像を示しながら、製品の表面で起きたであろう事態を説明できる。
もしもっと詳細な分析が必要なら、SEMなどを使えばいい。 分析装置は組み合わせてこそ最大の効果を発揮する。製品に不具合があるかないか確認する際も、まずは目視だ。次いで拡大鏡、そして金属顕微鏡、さらに…と、見える範囲を絞り込み、見るべきものを具体化し分析していく。
分析検査にも当然コストが掛かる。SEMなどを使った分析結果が必要なケースがあれば、コストも合わないし、そこまで詳細な分析は必要ないケースもあるだろう。サン工業では、お客様とそのあたりも協議しながら、必要にして十分な分析検査を実施しています。