マグネシウム材料にニッケルクロムめっきをつけたい
顧客のお困りごと
マグネシウムは、自然に存在する金属では最も軽く強度や放熱性に優れること、地球上での存在比率が高いことから、将来のカーボンニュートラルに向けて期待されている金属材料である反面、加工が難しいこと、表面処理が難しいことなど、実用的にはまだまだ課題が多く残っています。
今回は、そんなマグネシウム材料へのニッケルクロムめっきのご相談を受けました。
マグネシウム材料は酸でもアルカリでも腐食しやすく、何かしらの表面処理を行わないと実際には使用できない。
塗装下地としての化成処理は一般に行われており、サン工業でも「有機系」化成処理と「無機系」化成処理の量産を行っており、「無機系」の化成処理では、自動車産業でも実績のある、リン酸マンガン系化成処理を行っています。
しかし、化成処理は塗装することを前提としているため、外観はあまりきれいはありません。そこで、マグネシウム材料に対して、ピカピカの表面にできないかと相談を受けました。
サン工業の提案
特殊な前処理と下地めっきを行って、表面に装飾クロムめっきを付けることを検討し、試作開発を行いました。
※試作開発品ですので、量産については別途ご相談ください
マグネシウムは酸でもアルカリでも腐食してしまい、時には水洗水中の水の中でも溶解していきます。ですので、前処理は短時間で行う必要があります。また、水中でもすぐに酸化してしまいめっきの密着性が悪くなりますので、素材を溶かさず、なおかつ表面が酸化しない雰囲気中での下地めっきが必要です。
さらにピンホールがあると、そこから電位差腐食してしまうことから、ピンホールができないような下地めっきを少し厚めに実施し、ニッケルめっき、装飾クロムめっきを行うことで、ピカピカのサンプルを製作することができるようになりました。
担当者の声
マグネシウムはとても将来性のある材料だと思いますが、まだまだ課題が多くあります。そういう課題をめっき技術で解決していきたいと考えています。今後は、放熱性の優れた黒色めっきや耐食性と外観を兼ね備えた陽極酸化皮膜なども開発していきたいと思います。
ニッケルめっきの種類については下記ページをご覧ください