めっきを使って部品コストの削減
顧客のお困りごと
従来品では耐食性の観点からステンレスに硬質クロムめっきを行っていた。材料コストを下げるため素材を鉄に変更しようとしたが、曲げ部分や溶接部分が多くある製品であるため硬質クロムが付かない無めっき部が生じてしまった。また無めっき部分が錆びてしまうという不良が多発した。硬質クロムの無めっき部の錆を抑えながら、鉄素材に変更したい。
問題点1複雑形状の鉄部品に硬質クロムめっき
問題点2硬質クロムの無めっき部分の錆防止
サン工業の提案
下地に無電解ニッケルめっきを行い、このめっき上に硬質クロムめっきを行う。
ポイント1無電解ニッケルめっきを下地めっきすることで、クロムめっきが付きまわらない箇所の耐食性を向上させる
ポイント22層めっきとすることで、硬質クロムのクラックからの腐食も抑制でき全体の耐食性も向上する
解決できたこと(成果)
材質を高価なステンレスから鉄(SPCC)に変更しながら、従来品と同等の耐摩耗性と耐食性を付与することができ、製品製造工程全体としてコストダウンに寄与することができた。
問題解決に関わり提供できる技術等の優位点
・無電解ニッケルめっきと硬質クロムめっきの2層めっきによる耐食性の向上
・無電解ニッケルめっきと硬質クロムめっきの密着性を向上させるための浴組成や前工程の確立
担当者の声
無電解ニッケル上の硬質クロムめっきは従来からカニクロと呼ばれる2層めっきの方法でしたが密着性が課題でした。硬質クロムの浴組成を密着の良いものを選定するとともに、クロムめっきのクラックの抑制などで高い耐食性を実現することができるようになりました。この製品の場合は治具にも工夫がされており、ヨケや補助電極を用いて全体的なめっき膜厚の均一性も図っています。