ハサミの長寿命化
顧客のお困りごと
レジなどで使用する紙を切断するハサミはSUS420J2などの材料で作られている。中国製の安価な紙の場合、紙に含まれているケイ酸成分で刃先の摩耗がひどく製品寿命が短くなってしまった。そこで硬質クロムめっきを行うことで刃先の寿命を延ばしたい。
問題点1鋭利な刃先への均一な硬質クロムめっき
問題点2ステンレス材料に密着よくめっきを行う
サン工業の提案
硬質クロムめっきは先端部に厚く付く傾向があるが、ハサミの場合は厚くなると刃先がかみ合わなくなってしまう。そこでめっきの治具を工夫し、先端部へのめっきを抑制し刃先に対して均一な硬質クロムめっきをつけることとした。また、前工程やめっき工程でステンレスに対しても密着よく付ける工夫を行った。
ポイント1特殊治具による膜厚の均一化
ポイント2ステンレス材料にも密着よく硬質クロムめっきを行う工程の確立
解決できたこと(成果)
刃先に対して均一に硬質クロムできるようになったことで、刃先のかみ合わせを犠牲にすることなくはさみの切れ味を向上させることができた。また、従来のめっき無し品と比較して刃先の寿命を3倍程度伸ばすことができた。
問題解決に関わり提供できる技術等の優位点
・特殊治具による膜厚の均一化
・ステンレス材料へのダイレクト硬質クロムめっき
担当者の声
刃先への硬質クロムめっきということで、特に膜厚ばらつきによってはさみがかみ合わないリスクを想定していましたが、特殊治具をうまく設計することでこのばらつきを抑えることができ全体的に均一な膜厚でめっき処理できるようになりました。はさみの事例だけではなく、摩耗や摩擦で製品寿命が短くなるような場合には硬質クロムは有効な改善手段の一つだと感じています。