漆黒外観の三価黒色クロメートの導入
顧客のお困りごと
RoHS指令やELV指令で六価クロムを用いた黒色クロメートが使用できなくなってしまったので、三価クロムを用いた黒色クロメートで耐食性がよく漆黒の外観を出したい。
問題点1六価クロムフリーで漆黒の黒色クロメート
問題点2六価クロムを使用した黒色クロメートと同等の耐食性にしたい
問題点3三価黒色クロメートの外観と耐食性はトレードオフの関係にあり、二つの特性を同時に満足することが難しい
サン工業の提案
三価クロムを用いた黒色クロメート処理は、その成分であるコバルトや三価クロム、リンや硫黄の濃度を厳密に管理しないと外観や耐食性を維持することができません。サン工業では三価黒色クロメート液中のこれら成分をICP発光分光分析装置を用いて分析管理するとともに、一定期間ごとに皮膜中に取り込まれる有効成分の分析も実施して漆黒外観と耐食性を両立させることに成功しました。
ポイント1すべての有効成分の分析管理
ポイント2皮膜成分のモニタリング
解決できたこと(成果)
他のめっきメーカーが管理手法を確立できない中、業界に先立って液分析や皮膜分析の方法を確立することにより漆黒外観と耐食性を両立できる六価クロムフリーのクロメートを安定した品質を維持・提供できるようになった。 また黒色クロメートの外観はクロメート液だけでなく亜鉛めっきの光沢剤の影響も受けているが、サン工業では黒色皮膜の得やすい光沢剤の選定と管理を行い安定した外観を維持・提供できるようになった。
問題解決に関わり提供できる技術等の優位点
・複数の有効成分の分析管理
・皮膜成分のモニタリング
・黒色の得やすいめっき液光沢剤の管理
担当者の声
三価黒色クロメートは2003年ころから一般に普及しましたが、当時はどの薬品メーカーも手探りの状態でなかなか良い薬品が出てきませんでした。多くの薬品で試作評価をした結果、量産に耐えれる外観と耐食性を両立できるものを探し出し、さらに試行錯誤しながら液の管理方法を決めることができました。三価黒色の処理は、現在では一般的になりましたがまだまだ当社として競争力のある表面処理のひとつです。