電気ニッケルリンめっきの量産試作対応を開始しました!
顧客のお困りごと
電気ニッケルリンめっきは電解ニッケルリン、電解ニッケルーリン合金めっきなどと呼ばれるめっきで、技術的にはかなり昔から存在していためっきになります。いままではめっき速度が遅くそのメリットを出せませんでしたが、めっき速度を向上させ、液濃度の管理を精密に行うことで量産対応が可能になってきました。電気ニッケルリンめっきは皮膜中にリンを約11%含有し、その特徴を一言で言うとすると、「無電解ニッケルめっきの高リンタイプの皮膜物性をより安価に提供できる※」ことです。
※製品形状や仕様によって変化しますが、④のような理由で材料コストを下げることができます
具体的には、
①非磁性のニッケルめっき皮膜を行いたい➡非磁性の電子部品、半田付け部品など
②耐薬品性の高いめっき処理を行いたい➡リチウムイオン電池の内部部品、半導体製造装置の腐食ガス対策など
③薄膜で耐食性のよいめっき処理を行いたい➡腐食環境や海岸、塩害にさらされる部品など
④無電解ニッケルめっきの高リンタイプと同等の皮膜物性をより安価で製造した部品など
というようなお困りごとに対応できるめっきです。また、めっきの温度やpH を変化させることで皮膜中の含リン率を変化させることができるため、製品特性に合わせた皮膜を作ることも可能になります。
①電気ニッケルリン合金めっきは非磁性のめっきです
ニッケルは鉄やコバルトと同様に磁石にくっつく性質(強磁性)があります。電気ニッケルリンめっきは無電解ニッケルめっきの高リンタイプのめっき皮膜と同様に非晶質(結晶構造がバラバラの方向を向いている)のため、磁石にはくっつきません。磁性を嫌うような電子部品やハードディスク周辺部材への応用が期待できます。
②電気ニッケルリン合金めっきは耐薬品性がよいめっきです
めっきが薬品に侵される主な理由は、金属の結晶格子がきちんと配列しており、薬品にアタックされやすい結晶面が存在することです。電気ニッケルリン合金めっきは、①にあげたように皮膜が非晶質ですので、アタックされる面が少ないことから、良好な耐薬品性を示します。また、中リン無電解ニッケルめっきや光沢電気ニッケルめっきは皮膜中に添加剤成分の硫黄を含有してしまうため、皮膜自体が電気的に卑になりやすく、耐薬品性が低くなる傾向にあります。
③電気ニッケルリン合金は耐食性のよいめっきです
塩水噴霧試験などの耐食性評価ではめっき皮膜のピンホールの有無が大きく影響しますが、電気ニッケルリン合金めっきはピンホールの少ないめっき皮膜です。
④高リン無電解Niめっきに比べて価格が下がる
無電解ニッケルめっきは使用につれて液中に不純物として、亜リン酸と硫酸ナトリウムが蓄積し、皮膜物性を悪化させるため、ある程度使用すると、液を全量廃棄する必要があります。電気ニッケルリン合金めっきは、液を廃棄することなく連続で使用できることに加えて、液温度も無電解に比べて低い温度でめっきでき、めっき速度も無電解ニッケルめっきの2~4倍と高速でのめっきが可能です。