ニッケルめっきした製品に追加工をして、再めっきしたい(二重めっき or 剥離再めっき)
顧客のお困りごと
鉄製品に無電解ニッケルめっきを行ったが、一部、未加工になっていることが分かった。その部分を加工しなおしたがめっきも無くなって素地が見えている。再めっきをしたいが、めっきメーカーに相談したところ「ニッケルめっきしてある製品にはめっきできない」といわれて困っている。
ニッケルめっきは表面に酸化皮膜が生成しやすく、そのままめっきしてもめっきが剥がれてしまう
めっきをすべて剥がしてめっきをやり直すことも提案したが、素地が見えていると剥がせないといわれた
サン工業の提案
「二重めっき」または「再めっき」
このような場合、サン工業では2つの提案をさせていただきます。
二重めっき
ニッケルめっきと素材の見えている部分にそのままめっきを付けます。納期と処理コストの削減が期待できますが、素材の見えていたところと、ニッケルめっきがついていた部分で厚みが異なります。数ミクロンが許容できるようですと、こちらの方が早いです。
剥離再めっき
ニッケルめっきをすべて剥がしたあと、もう一度めっき処理を行います。亜鉛めっきと違い、鉄素材のニッケルめっきは剥離に数日を要することもあり、納期と処理コストがかかってしまいます。
サン工業における二重めっきのポイント
サン工業ではニッケルめっきを活性化(不動態酸化皮膜を除去)し、密着のよい薄い下地めっきを施すことで、めっきの上にめっきを付ける技術があります。
サン工業における剥離再めっきのポイント
鉄素材上のニッケルめっきは通常の酸やアルカリでは除去することができず、ニトロベンゼンスルホン酸塩という、ニッケルは酸化させる(溶解させる)が鉄に対しては保護膜として機能する特殊な化学物質を用いる必要があります。ところが、この物質は熱に弱く、作業していなくても徐々に濃度が低下し、最悪の場合素材が溶解してしまいます。
サン工業ではこの物質も分析できる特殊な分析装置をもって濃度測定していますので、鉄素地が一部露出していても剥離作業を行うことができるのです。
めっきの剥離・再めっきの関連ページ
問題解決に関わり提供できる技術等の優位点
●ステンレスへのめっきで培ったストライクニッケルめっきの技術
●有機系の添加剤の濃度測定可能な分析能力
担当者の声
20年ほど前は、自然に分解してしまう有機系の添加剤の正体がわからず、ニッケルめっきを剥離していましたが素材まで荒れてしまったことがありました。いまでは、この物質の量が定量できるようになっているため、このようなトラブルも発生せず安定的にめっき剥離を行うことができるようになりました。
アルミニウム製品で追加工をした場合には、二重めっきの方法は使用できませんが、アルミニウム上のニッケルめっきは比較的容易に除去できますので、いったん先に行っためっきを剥離しておいてから再めっきするのが一般的です。