サン工業株式会社

めっき技術

これまで弊社で実績のあるめっき技術を用いた
様々な問題解決事例についてご紹介いたします

薄板アルミ材バスバーへのニッケルめっき

顧客のお困りごと

自動車向け車載バッテリーのバスバーをアルミニウム素材で設計しており、めっきもニッケルめっきで行うことを考えていた。 しかし、無電解ニッケルめっきでは、皮膜硬度が硬すぎて、振動試験に弱く、ネジ締結部が点接点になりやすい。また、電気ニッケルめっきでは、めっき厚のバラつきが大きい上に、アルミ素材との密着がやや弱いという欠点があった。

問題点1

製品が非常に薄いアルミニウムであり、無電解ニッケルめっきでは振動に耐えられない

問題点2

ネジで締結するため、皮膜の柔らかい電気ニッケルめっきが好ましいが、形状が複雑で、めっき厚がばらついてしまう

問題点3

自動車部品のため、耐食性や密着性は保証されていなければならない

サン工業の提案

ハードディスク部品のアルミ素材への表面処理で培った技術を応用して、あたらしい機能をもった多層めっきを提案した。

ポイント1

素材との密着性は、電気ニッケルめっきよりも無電解ニッケルめっきの方が優れており、かつ、複雑な形状でも均一にめっきできる

    電気ニッケルめっき          無電解ニッケルめっき

ポイント2

電気ニッケルめっきは、無電解ニッケルめっきよりも、皮膜が柔らかく、ネジ締結時は、自身がつぶれることで表面積が増え、接触抵抗を下げることができる
また、無電解ニッケルめっきよりも、皮膜の電気抵抗が約1/6と低いため、電気を流しやすい

    無電解ニッケルのみ          開発した二層めっき

解決できたこと(成果)

電気ニッケルめっきと無電気ニッケルめっきのそれぞれの利点を生かし、下地は無電解ニッケルめっきとして、素材との密着性と均一なめっき厚(耐食性向上)を実現させ、二層目に電気ニッケルめっき、それも半光沢ニッケルめっきを行うことで、ネジ締結時の接触抵抗を低下させた。

問題解決に関わり提供できる技術等の優位点

・多くのめっきを手掛ける実績から、さまざまなめっきを多層化(複数のめっきを二層化、三層化)させて新しい機能を生み出す技術
・サン工業内でめっきラインを25以上保有
・アルミ素材や銅素材のバスバーや端子に対して、無電解ニッケルめっき、銀めっき、スズめっきも対応出来る

担当者の声

実はこれよりももっと多くの技術的課題があったのですが、この二層めっきをブラッシュアップさせることで、量産に結び付けることができました。量産開始時は、複数のラインをめっきの治具をもって走り回って処理をする、というスタイルでしたが、いまでは、一つのラインとして整理され、派生機種も多く流れるようになってきました。 これからは電気自動車の時代が来ると思いますが、街中を走る電気自動車にも、自分の開発した技術が積まれていると思うと技術者冥利に尽きます。

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