忘却力
- 思いついたまま
人生のファイナル・クオーターになって、今までの思い込みと違う世界があることに気付かされます。
人生60年間記憶力の乏しさに辟易して来ましたが、人生の終焉に近づいた今改めて感じるのは、記憶力=人の価値では無いことです。
学生時代の受験戦争を勝ち抜くには、何より記憶力が無くては通用しません。でも、記憶力は絶対なものであるかと言えば、答えは明確・・NOです。
なんで日本の教育・受験が Yes/No の世界になったのかと言えば、単純なわたしの考えでは教師が楽をしたためだと思います。だって、そうでしょう、答えが明確であるほうが採点が楽!なんだから。でも、人それぞれ考えがあり、思いがあるんだから、単純に年号や方程式を憶えている人のほうが上位だとの捉え方そのものが間違っていると思います。
人間として大切なのはバランスで、それは柔道で云う「心・技・体」+創造力こそが重要であると思う。その事は前にも触れましたが今後日本が世界に伍していくための大切なテーマであると思います。
で、今回のお題の「忘却力」でありますが、最近、今まで劣等感ばかり抱いていた記憶力の弱さは、もしかしたら過去を引きずらない(もしくは忘れちゃって引きずれない)ことがその人の能力!なのではないかと考えるようになってきました。
学生時代に求められる記憶力と相反して、年をとるにつけ記憶力は減退します。ですが、コンピューターで云うクリア(完全に記憶を無くす事)はほとんで出来ないのではないでしょうか?
思春期における失恋や就活の苦い体験等忘れたい体験&記憶はしっかりとDNAに刻み込まれてしまいます。そうした苦い体験はストレスとして長年にわたり引きずる人は多いと思います。
こうした過去を清算orクリア出来れば人生、新たに仕切り直して新しい事にチャレンジ出来るはずです。それには「忘却力」がとても大切な能力になると言えるでしょう。長い人生一度や二度のつらい過去があっても気持ちをポジティブに切り替えれさえすれば、とても豊かな一生が送れるはずです。でも、記憶力の優れた人は、その記憶力の良さゆえそうした理想形をもって幕を引く事は出来ないかもしれません。
ですから、私のような記憶力の悪い人間においては持って生まれた「忘却力」を強みとして捉えると、これからの人生を過去を引きずる事の無い「あっけらかんとした忘却の処世術」を盾にけっこうカッコいい生き方が出来るかもしれません。
そう考えるとなんか、これからの人生たのしみだなぁ~。