ジョルジョ・デ・キリコ展
- 密かな楽しみ
久しく見ていなかったNHKの日曜美術館で「ジョルジョ・デ・キリコ~変遷と回帰」をやっていることを知りました。
キリコは何とも不思議な画家で、魅惑的ではあるけれど何処か不安を感じさせられる画家なのです。
不思議さの所以は、1910年代、パリとフェッラーラの間で、説明しがたい謎の雰囲気を湛えた独自の芸術「形而上絵画」を生み出したデ・キリコではありますが、1919年頃より、デ・キリコは突如として古典に回帰した作品を描き始めたのです。
そして、1940年代初頭よりバロック絵画やロマン主義絵画のような古典の世界に新たな規範を見出そうとし、デ・キリコのネオ・バロック時代が始まったのです。
デ・キリコの最大の不思議は、1920年代より自身の形而上絵画を繰り返し複製しましたが、1960年代後半からは、新形而上絵画の時代に入り、従来の作品の様式と主題を独自に組み合わせた作品を次々と発表しましたが、それが新形而上絵画だったなのか、或いは自身の創造力の欠如故だったのかは??であります。