中尾歌舞伎秋季定期公演
- ほんの出来事
伊那市の指定無形民俗文化財に指定されている「中尾歌舞伎秋季公演」を観てまいりました。
一昨年、俳優の原田芳雄の遺作となった事でも有名になった「大鹿村騒動記」の題材が、下伊那郡の大鹿村で300年以上伝わる大鹿歌舞伎であったことは記憶に新しいところです。
私は不覚にも今日まで地元に伝わる伝統文化である「村歌舞伎」を一度も観たことはありませんでした。
映画の影響もあって、今回友人から中尾歌舞伎が上演される事を聞き、一緒に連れて行ってもらったのです。
秋の天候に恵まれたこともあって、今回久しぶりの屋外公演をここ熱田神社で行われたので、ロケーションといい雰囲気と云い、最高のお芝居環境の中での歌舞伎見物と相成りました。
出演者は顔見知りの伊那市の職員であったり、地元のケーブルTVの番組に出る時いつも司会をしてくれるH女史が居たりして、とても親近感溢れる人たちばかりですので、はじめは身内のようにトチリはしないかと心配しながらの観劇でした。
演目は落語からとった「人情噺 文七元結」で、江戸っ子の遊び好きが玉にキズだが、その気風の良さと人情深さにど~にも憎めない長兵衛が主人公のお噺なので、とても分かりやすい内容でした。
しかし、始まってみるとそんな杞憂は芝居にのめり込むことでどこかに飛んで行ってしまっていました。
いやはや、皆さんとても素人とは思えないほどの役者ぶりで、でも何処か素人っぽさも滲んでいてとても微笑ましいお芝居なのでした。
中尾歌舞伎は250年の歴史とお聞きしましたが、映画もTVもましてやラジオさえ無い時代に於いては、こうした村で開催される歌舞伎は村中の人々の最大の娯楽であったことは、想像に難くありません。
年に2回、春秋に開催される定期公演と共に年明けに行われている地元の文化会館での公演も含め、これからは年に一度くらいは伝統ある地元の文化に触れてみることにも心掛けようと思った楽しい一日でした。