ホープ軒のギトギトラーメン
- 密かな楽しみ
- 思いついたまま
今から30年ほど前だと思いますが、日本マクドナルドの創立者である藤田田(でん)氏の本or記事を読んで”なるほど、そんな発想があるんだ!”と感銘したのが、「ハンバーガー文化は日本に根付きますか?・・との質問に、藤田氏は、人は生まれてから初めて口にする食が原体験となってDNAに擦り込まれ、齢が取っても必ず原体験の食が懐かしくなり戻ってきます。今マクドナルドを口にするお子さんが核となって次世代の子供たちにまでマクドナルド文化が浸透するはずです。」・・の、一言が強烈に印象に残っています。
自分自身振り返ってみれば、確かに幼いころ口にした”お茶漬け””ぶっかけ卵””チャルメラ””サッポロ一番”など、決してリッチとは云えない食ですが、60歳過ぎた今でも私にとってホッとする食であって、替えがたい食の原点になっています。
マクドナルドの藤田さんが言っていた通り、最終的には自身の原体験の”食”(・・それがハンバークか雑炊かチャルメラかは別として)が、その人の「食に対する価値は”原体験”によって擦り込まれる」ことに納得してしまうのです。
こうした廻りくどいお話をしたのは、東京に来るとひたすら懐かしい味に我がDNAがおびき寄せられてしまう不思議のお話をしたかったからなのです。
今から20年以上前、ある知人から美味しいラーメンのお店があると教えられたのが、ここ千駄ヶ谷にある「ホープ軒」だったのです。
当時は若かったですから、ブタのギトギト背脂でおおいかぶされているラーメンは事のほか新鮮で、且つ魅力的なラーメンでありました。
病みつきになるとはこういう事を言うのか・・と納得したのは当初、1階は立ち食いのみで2F3Fは椅子席があるものの、”オーダーはどうすればいいの?”・・といった戸惑いがラーメンの味と共にとても印象的なお店だったのです。
それから20年以上、もういい歳だからギトギトラーメンは止めようと思っていても、アノ不思議なあくどさの味のラーメンにたっぷりのおろしニンニクと共に食す快感は、60過ぎのジジイには毒だと解っていても止められません。支離滅裂な言い方を云うと「これで寿命が縮まっても本望だ」との決意?のもとに今回も勇躍、馳せ参じるのでした。