恋女房染分手綱
- 密かな楽しみ
春夏の年2回公演される地元長谷村中尾の中尾歌舞伎を観にいくのが楽しみです。
友人に初めて連れて行ってもらったのが2013年の10月ですから、今年で3年目になりますが何かのっぴきならない用事と重ならない限り毎回足を運んできました。
3年目ともなると、役者さんの顔も覚え、歌舞伎の演目もいくつか見ているうちに毎回演技と内容が濃く又、役者さんの成長?も感じられるようになり、いち観客としてではなく身内になったような気持ちで舞台を見るようになってしまいます。
今回の演目は近松門左衛門作の「恋女房染分け手綱」の十段目の「重の井子別れの段」が上演されることを案内状で知り、あの可愛い子役の森蔵之助くんがガンバッて演じてくれる姿を想像しただけで楽しみと期待が倍増したものです。
予想通り素晴らしい舞台になり、また予想通り蔵之助くんの演技も可愛く秀悦でしたが、重の井(蔵之助君のお母さん)が奥家老の息子と不義密通のすえ生んだ子供が三吉(蔵之助)で、わが子と知っても別れなくてはならないストーリーが泣けました。また二人の台詞が長いのですが、親子ともども完璧にこなしてくれたのはさすがでしたが、長い蔵之助くんの台詞の途中、重の井役のお母さんが一寸した身振りで息子蔵之助くんのサポートをしていたのが微笑ましかったのです。
こうした村芝居の良き伝統と文化はこうした地元の熱心な方々の情熱のお陰で連綿と引き継がれていっていることに頭が下がる思いでいっぱいです。
わたしたちは、これからもこうした地元に根付いた文化を大切にバックアップしていくことが大切だと改めて感じながら舞台をあとにしました。