サン工業株式会社

社長のひとり言

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懐かしJJ(植草甚一)ワールド

  • 思いついたまま

最近、大きな本屋さんに行くと目に付くのが植草甚一のコーナーが出来ていることです。
そのコーナーには植草甚一、生誕100年記念とか謳っており、一瞬青春時代にタイムスリップしたようで、思わず懐かしい彼の本を手にしてしまいます。
つい先日も東京に行った際、紀伊国屋でいつものように琴線に触れる本を物色しているとアノ懐かしいJJおじさんの本の一角に出くわしてしまいました。ついつい、懐かしさのあまり多分その昔、無けなしのお金で購入し、今は家の本棚にあるかもしれない何冊かの本を購入してしまいました。
大学生の時、植草甚一の本を手にしながらJAZZ喫茶に行くのが、なんともお洒落な自己演出の一つでありました。田舎者の私としてはそんなシチュエーションに身を置いているだけで、田舎者から一挙に最先端の都会人?になったような自分に酔うことが出来る貴重な存在が植草おじさんだったのです。
そんな時代から既に40年近く過ぎているにもかかわらず、彼の本を開いた瞬間からアノ良き時代にタイムスリップ出来るのです。

今でも印象的なのは、植草おじさんが神田の古本屋を廻りながらPLAYBOYを購入し、少し疲れた頃近くの喫茶店に入り、まずグラビアの何とも魅力的な裸の女性の写真を全て破り捨て、薄くなった雑誌の中からお気に入りの作家の文章を、煙草をくゆらしながら一杯の香り立つコーヒーと共に、見つけだすことに無上の喜びを見いだしている彼の姿がその文章から伝わって来ることでした。
血気盛んなアノ時代の私としては、PLAYBOYといえばグラビアの裸の女性が全てで、残った文章は付録か邪魔者に過ぎなかったのが、全く逆な価値観でPLAYBOYと接している人種がいることが目からウロコの世界の発見でした。
そんな俗世間から浮遊した人種の代表各が植草甚一おじさんなのでありました。また、雑学という分野が市民権を得たのも彼の功績?の一つだったような気がいたします。
あの当時で70歳近かった植草おじさんが、そんじょそこらの若造には想像できない素敵な時代とスタイルを確立し、実践していたのが憧れになりました。

彼の年に近づいてきた年代になった今、はたして自分は憧れの植草甚一の世界に近づく事が出来たのだろうか?と考えてみますが、かえって遠のいている自分に愕然としてしまします。

青春時代の憧れが時代と共に変質していくのは当然のことですが、あの純粋だった時代を忘れることなく今の時代を自分なりにアレンジし、日々を自分なりのスタイルで充実して過ごすことがとても大切なのだと植草おじさんは言っているような気がしつつ、彼の本を懐かしく眺めている今日この頃です。

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