この週末は、はるばる神奈川県の葉山にある神奈川県立近代美術館葉山まで行って来ました。目的は、そこで開催されている松本瑠樹（るき）コレクション「ユートピアを求めて」（ポスターに見る、ロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム）展を観る為です。

ひょんなことからこの展覧会の事を知り、ロシアのポスターの実物を目にする機会などほとんどありませんし、ネットで見た2~3のポスターから、今まで見て来た東西のポスターとあまりにも違う発想と色づかいと構成に、ど～しても見てみたいとの衝動に駆られてしまってのです。会期も今月26日までとの事を知り、このチャンスを逃すと一生（一寸大げさかな？）見れないで過ごしてしまいそうで、目にするのなら「今でしょ！」・・と決意し、遠く葉山の地までやって来たと云う訳です。

展示会は、ファッションブランド「BA-TSU」のデザイナー松本瑠樹（1946-2012）の世界的なポスターコレクションから、ワシーリー・カンディンスキー、カジミール・マレーヴィチ、ウラジーミル・マヤコフスキー、アレクサンドル・ロトチェンコ、ウラジーミルとゲオールギーのステンベルク兄弟、グスタフ・クルーツィスなどの多くの未公開作品を含むポスター約180点によって、ロシア革命前から1930年代前半までのソヴィエト連邦初期のモダニズム・デザインの歴史的展開を3つの章によって紹介されており、I. 帝政ロシアの黄昏から十月革命まで～革命前のカンディンスキーによる「ファーランクス」のポスターやマレーヴィチによる「今日のルボーク」から、革命直後の「ロスタの窓」まで・・・と　II. ネップ（新経済政策）とロシア・アヴァンギャルドの映画ポスター～映画産業の再始動とともに興隆したいわゆる「ロシア・アヴァンギャルドの映画ポスター」。77点のステンベルク兄弟をはじめ、プルサコーフ、ルクレフスキー、ロトチェンコなど計120点・・・と　III. 第一次五カ年計画と政治ポスター～1930年前後のクルーツィスによる工業化と農業の集団化をテーマとするポスターや政治指導者たちを描くポスターを中心に約40点・・・の3つの章で構成されていました。

特に面白かったのはロシア・アヴァンギャルドのポスター群で、一見規則でガンジガラメになっていた時代と体制だと思い込んでいた ロシア革命前からレーニンの時代に、このような先進的な感性のポスターが存在した事に驚きました。
こうした思い付きの旅行には思いがけないプレゼントが付きもので、今回も泊まったホテルから素晴らしい富士山の姿を見る事が出来ましたし、帰りがけに嗅覚にビビ～ンと来たレストラン「La Maree De Chaya」が大正解で、今の時期限定の美味しい牡蠣を満喫する事が出来ました。
やはり、行動すれば何かしらの良い体験がプレゼントされる事を身をもって体感した週末でした。・・でも、遠かったな～ぁ！