「織部とは何者か?」古田織部展
- 密かな楽しみ
昨年末から気になっていたのが、この古田織部展でした。よく行く銀座の松屋での開催ですので、何となく身近な展示会の雰囲気もあり一寸立ち寄ってみたくなった催し物でした。
しかし、開催期間が昨年の12月30日から正月明け1月19日までと圧倒的に短く、地方に住む私にとってほとんど観るチャンスはないであろうと思われた企画なのでありました。幸いなことに、この時期に成人式にまつわる代替休日があり、何とかこの展示会を観る機会を得ることが出来たのです。
古田織部は、慶長年間のはじめに「茶の湯名人」となり、寂びた茶を極めた師の利休とは対照的に、茶の湯の空間に新奇な創意を発揮し、新しく開発した茶道具に大胆奇抜な造形美を取り入れ、斬新な美の世界を創造したことで良く知られています。
慶長4年(1599)2月の茶会で、歪んだ和物茶碗を使った織部の演出は「織部好み」と呼ばれ、爆発的な流行となりました。その自由闊達な作風は美濃焼をはじめとする各地の窯元に影響を与え「織部焼」と総称されていますが、その全貌がイメージ出来ずいたのが、今回の展示会で織部が活躍した時代背景と環境が良く分かり、今まで点でしか見えなかった織部の世界が初めて自分の中で線で描くことが出来ました。
その奥深さはまだまだ私には計り知れませんが、今回その入り口に立てただけでもとても良い刺激になりました。