鉛筆削り
- 思いついたまま
エンピツを削るのが好きです。
子供のころは今のようにシャープペンやボールペンが普及していなくて、しかも電動以前の手でぐるぐる廻す鉛筆削り機もあまりポピュラーではありませんでした。
そこでしかたなく、小刀(今のカッターナイフではない)で鉛筆を削るのですが、たいがい字が書ければ良しといった、機能本位?のイビツな鉛筆ばかりが当たり前でしたが、その内数本、上手くバランス良く削れたときの小さな満足感は今でも鮮明に蘇ってきます。
小学生のころから今まで、もちろん勉強は苦手で授業を受けながらマンガを描いたり授業中あらぬ事ばかり夢想していました。
そして、授業に飽きるころ丁度好い頃合で鉛筆の芯が短く太くなり書きにくくなるので、エンピツを削ることになるのですが、これがとても良い気分転換の場になるのです。
あの6角形の角を、これから形作る鉛筆の理想的な芯と木部の削りしろのバランスを考えナイフを入れる瞬間のチョッとした緊張感。
そして、慎重にナイフの角度を調整しつつ削り出し、イメージどおりの完成形に削れたときの満足感。
最後に芯先の部分を理想系のテーパーに仕上げることで鉛筆削りの一連の作業は完成するのです。
今まで何百回も鉛筆を削ってきましたが、自分で満足の行く仕上がりに削れたことは余りありません。それは、一本のエンピツでも2本の異なる木の組み合わせで出来ているため
微妙に木の硬さが違ったり木目がずれていたりして、中々同じ角度で削れないのです。
でも、たまに理想のバランスで削れたときの満足感といった言葉では表せないほどで、しばらくエンピツを使うのもためらうほどでした。
こんなささやかな楽しみは最近余りありませんが、やはりこのエンピツを削る楽しみの為、近頃では又なるべくエンピツを使うようにしています。