昆布のような男(ひと)になりたい
- 思いついたまま
寒いですね。
寒い時には、やはり熱々の鍋を囲んでアフアフ言いながらツツク食事が「日本人に生まれて良かった!」と思うひと時ではないでしょうか?
日本の冬の鍋料理といえば、定番の「水炊き」や「もつ鍋」等がありますが、私が注目するのはそんな自己主張の強いメイン料理ではなく、いつも気が付けば「あっ、ここに居たんだね。」っといった風情のアノ「湯豆腐」なのであります。
その佇まいが良い。
食卓の真ん中に鎮座して、でかい顔をしている鍋物に比べ、脇に佇んでいる姿はイジらしくさえ思える。
湯豆腐の主役であるトーフも、その姿かたちがシンプルでとてもよろしい。
そのシンプルな姿のトーフも、ニキビずらがあったりちょっと腰砕けの頼りなくひ弱なのがあったり、または真四角な立方体をキチンと維持してちょっと融通がきかなそーなトーフもあったりして、それはそれでちゃんと自己主張している。
その主役のトーフを引き立てているのが昆布なのである。
本来は出汁を取るために存在しているのだが、白いトーフと黒い昆布のコントラストがシンプルが故にとても美しい。
出汁を出し尽くした?昆布は本来、湯豆腐の中に無くてもいいのだが、ちゃんと私が役割を果たしたんですよ・・と、さりげなく自分の価値を認めてもらおうと脇に控えめに寄り添っている風情がほほ笑ましい。
俳優で云えば笹野高史さんのような、決して目立ちはしないが彼がいるだけでその映画やドラマが引き締まる・・そんな名脇役が昆布なのです。
わたしも昆布のような男(ひと)になりたい。