忘れてしまいたいこと
- わくわく旅行
今回の南米の旅行で思い出す苦い経験がある。
なにしろ好奇心の大盛な頃だったので、どこの都市に行っても観光地に行っても、どんな小さな売店でも覗き見るものが新鮮で感動が一杯で欲しいモノだらけで、目が休む暇が無いくらいキョトキョトしていた。
そんな折り、マチュピチュの帰りクスコの空港で同行した人に「一寸トイレに行ってくるので荷物見ておいてね」と云われ「あっ、良いですよ」と気軽に応じたものの、フト見た売店に目が奪われ一寸覗いた瞬間、預かった荷物が盗まれてしまっていた。
一瞬の出来事であったが、事の重大さに気がついたのはその荷物の中に大切なパスポートが入っていたことだった。
結局彼は私の不注意で同じ便で帰国することが出来ず、帰りに寄ったハワイにも行けずじまいだった。
この時ほど、責任の重さを感じたことはない。安請け合いはしてはならないことと、信頼の重さ、信用の大切さを肌身に畳み込まれた出来事だった。
今でもその方に対しての申し訳なさを感じているのだが、今その状況であったら責任を持って荷物を預かれるのだが、それも人格が上がったのではなく単に以前ほど好奇心が無くなった事の方が大きな理由になると思う。
ということは、私という人間の本質はあまり変わっていないとすれば、それはやはり大きな問題で単なる感性が鈍ってきたからと云う年代がそうさせている悲しい現実なのかもしれない。