チタンの陽極酸化って?
- チタン
チタンはアルミニウムやステンレスと同様、表面に薄い酸化皮膜が自然に生成すること、空気中の水分などから素材を保護することで、表面処理無しでも高い耐食性をもっている材料です。また、強度も高く鉄や銅に比べて半分くらいの重さのため、航空宇宙業界でも注目されている素材でもあります。サン工業では燃料電池のセパレーターをチタンで製作できないかという開発を2007年に開始して以来、チタンの表面処理についても研究してきました。
チタンへの表面処理については、先ほど説明した「耐食性のよい酸化皮膜」の存在で、めっきは非常に難易度が高い材料で密着を得ることが難しいです。サン工業では前処理で表面に凸凹を作ることで燃料電池向けの金めっきやロジウムめっきを実施してきました。それに対して陽極酸化は素材に陽極(プラスの電気)を流すことで、強制的に酸化皮膜を厚くする処理で、比較的容易に処理することが可能です。
着色の原理としては、シャボン玉や車のガラスに浮き出る虹色発色と同じ原理で、透明な皮膜に光が入射すると皮膜の厚さによって、表面で反射された光と酸化皮膜を透過して反射した光が干渉することで、鮮やかな色調を出します。虹は光の屈折で赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色に見えますが、チタンの陽極酸化の色調は、皮膜が厚くなると、この逆で色調変化していきます。品質管理のポイントとしては、わずかな電圧差(ほとんど電流は流れません)で色調が変化するため、処理するタイミングでの液の濃度や液温度をしっかりコントロールする必要があります。
サン工業では量産・大量生産ラインではこの陽極酸化(陽極着色とも言います)は実施していませんが、ニッチな領域でもあるため、開発部門での少量量産や試作を実施しております。