ステンレスにストライクニッケルめっきを施さずにめっきしたらどうなる??
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ステンレスは表面に数ナノ~数十ナノメートルの酸化皮膜が存在することで、高い耐食性をもつ(さびや変色が起きにくい)金属です。
「ストライクニッケルめっき」「ウッド浴」とは
アルミやチタン、マグネシウムも同様なのですが、酸化皮膜のできやすい金属へのめっきは密着不良対策がポイントになり、ステンレスやチタンはストライクニッケルめっきなど酸性溶液でのフラッシュ(薄い)めっきを下地めっきしてから、任意のめっきを行う方法が標準的に用いられます。
めっき業界では、このめっきのことを特に、「ストライクニッケルめっき」または「ウッド浴」という名称で呼んでいます。
ストライクニッケルめっきが必要な理由
なぜストライクニッケルめっき無しだと密着が悪くなるかというと、めっきは、金属同士の金属結合と表面の凸凹によるアンカー効果で密着性を上げているのですが、間に酸化皮膜を挟んでしまうと、金属結合ができないため、見た目はめっきされているが非常に密着が弱い状態になっているのです。
この酸化皮膜が、例えばアルミニウムの陽極酸化皮膜のように電気を流さない皮膜であれば、めっき自体ができないので、あまり問題にならないのですが、ステンレスなどの薄い酸化皮膜は電気を流してしまうので、電気めっきができてしまうところが非常に厄介です。
ストライクニッケルめっき(ウッド浴)は、この酸化皮膜を分解しながらニッケルめっきするため、ステンレスのような難めっき材にも密着のよいめっきを行うことができるのです。
「ストライクニッケルめっきを行わなかったら」のテスト
「ストライクニッケルめっきを行わなかったら、外観や密着性はどうなるのか?」をテストしてみました。
- テスト内容(ストライクニッケルめっきを施さない)
- 前処理は脱脂だけを行う
- 酸処理など酸化皮膜を除去する工程は無し
- 電気ニッケルめっきを行っています
「見た目」はニッケルめっきがきれいに
この場合、下の写真のように「見た目」はきれいにニッケルめっきがされています。
カッターナイフで切りこみを入れてみると…
しかし、カッターナイフで切りこみを入れてみると、切込みの周辺は一部のめっきが剥がれています。
テープで簡単にめっきが剥がれてしまう
この部分にセロハンテープを貼りつけ、テープをはがしてみると、めっきが剥がれてしまいました。
このように、ステンレスへのめっきは一般的な鉄と違って、密着性は見た目ではわかりづらいことから、工程や液の管理が非常に重要になってくるのです。
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