サン工業株式会社

めっきQ&A

めっきの開発や研究、製造によって得られた
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めっき除去(めっき剥離)の方法は?

  • 用語解説

めっきした製品に対して何らかの理由によって、そのめっきを除去(剥離)して、再度めっきを行ったり、別のめっきを付けたり、追加工を行ったりすることがあります。一例として下記が挙げられます。

  • めっきを付けたが追加工が必要になったため、めっきを除去・剥離したい
  • ニッケルめっきで付けたが、お客様の要望で亜鉛めっきにつけ直したい
  • アルミニウムにニッケルめっきを付けたが、アルマイトに変更したい

今回のQ&Aでは、どういう素材とどういうめっきならめっきの除去・剥離が可能か、難易度はどの程度かなどをお答えしていきます。

(1)鉄素材(ステンレス含む)上の亜鉛めっきの剥離

鉄は塩酸という酸にはゆっくり溶けていきますが、亜鉛は激しく反応します。この性質を利用して、鉄素材に亜鉛めっきされた製品をある濃度の塩酸に浸漬すると、亜鉛が優先的に溶解し、亜鉛めっきを除去・剥離することが可能です。ただし、鉄もわずかに侵食されますし、SUM材のように、硫黄成分の入っている耐酸性の弱い材料などは塩酸でも肌荒れを起こしますので、注意が必要です。

(2)鉄素材上のニッケルめっき、無電解ニッケルめっきの剥離

ニッケルは硝酸という酸でないと溶解させることができませんが、硝酸は鉄とも激しく反応してしまい、めっき除去には使用できません。そこで、「金属の酸化物は酸やアルカリに溶解しやすい」という性質を利用して、酸化剤と溶解剤を混合した液でニッケルの溶解除去(剥離)を行います。
ここでポイントになるのが、「ニッケルは溶解できるが、鉄は溶解しない」という特別な条件の薬品を混合する必要があります。現実的には、そういう特性を持つ酸化剤としてして、「ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム」という化学物質を使用します。亜鉛めっきを塩酸で除去する場合にくらべて、溶解速度が遅くマイルドなので、めっき厚が厚くなると、めっきの除去に数日を要することもあります。

(3)鉄素材のクロムめっきの剥離

クロムは空気中では、強固な不動態酸化皮膜をつくり耐食性がよく変色に強いめっきとして知られています。ただ、クロムという金属は塩酸には非常に弱いため、亜鉛めっきと同様、ある程度めっきが薄ければ、塩酸で除去(剥離)することが可能です。
ただし、塩酸だと素材が荒れてしまうこともありますので、その場合には、製品を陽極にして、アルカリ溶液中で電解することで、クロムが電気分解で溶解させ、クロムめっきを除去することができます。

(4)真鍮素材のニッケルめっきの剥離

真鍮素材のニッケルめっきは旧来は鉄素材上のニッケルめっきの除去で使用するニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用する場合もありましたが、どうしても素材が荒れてしまうため、基本的には除去不可ということになっていました。
しかし、サン工業では特殊な方法で真鍮素材上のニッケルのみを選択的に溶解除去する方法を開発し、ほとんど素材を痛めることなく、めっきの除去(剥離)ができるようになりました。

サン工業の独自技術で溶解除去(剥離)方法を開発

めっきを除去(剥離)した例

めっき除去(剥離)の例(無電解ニッケルめっき)

左が無電解ニッケルめっき10μm、右がニッケルめっきを除去(剥離)した後の外観です。


めっき除去(剥離)の例(電気ニッケルめっき)

電気ニッケルめっきについても同様に除去(剥離)することができます。
下の写真では上がニッケルめっき後、下がそのめっきを除去したものになります。


(5)アルミニウム上のニッケルめっきの剥離

ニッケルは酸化性の酸である硝酸に良く溶けますが、アルミニウムは硝酸にはほとんど侵されません。そこで、アルミニウム上のニッケルめっきは酸化性の強い濃硝酸に浸漬することで除去(剥離)することが可能です。
ただし、アルミニウムも全く溶解しないわけではなく、また、材質によっては硝酸で侵されるものもありますので、実施前にはテストが必要になるケースが多くあります。

※アルミニウムはめっきの前処理で表層数ミクロンが溶解しますので、めっきを除去して再度めっきするようなケースでは寸法変化に留意する必要があります。

めっきの除去・剥離についてご相談ください

サン工業ではめっきの除去・剥離についてご相談をお受けしております。
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