高耐食性 亜鉛ニッケル合金めっき
- 用語解説
鉄をサビさせないために広く用いられる亜鉛めっきですが、その耐食性をさらに向上させためっきが亜鉛ニッケル合金めっきです。このところ、亜鉛ニッケル合金めっきについてお問い合わせをいただいていますので、ご紹介したいと思います。
亜鉛ニッケル合金めっき誕生の経緯
そもそも、亜鉛めっきではだめなのでしょうか。実は、2000年過ぎごろまでは亜鉛めっきでも通用していました。当時は亜鉛めっきにグリーンクロメートを処理することで、高耐食性を付与することができました。しかし、環境規制によって六価クロムの使用規制が進むことによって、真っ先に使用できなくなったのがグリーンクロメートだったのです。そこで、グリーンクロメートに変わる、高耐食性皮膜が求められた結果、開発されてきたのが亜鉛ニッケル合金めっきです。塩水噴霧試験で赤さび発生までの時間が500~1000時間と、グリーンクロメート以上の耐食性を持っています。サン工業の亜鉛ニッケル合金めっきは1000時間以上の耐食性を確認しています。
亜鉛ニッケル合金めっきの種類
亜鉛ニッケル合金めっきは亜鉛とニッケルが合金化した金属皮膜になります。この合金比によって耐食性や物性が変わります。一般的にニッケルが5%程度の低ニッケルタイプと、12%以上の高ニッケルタイプに分けられます。サン工業では高ニッケルタイプの処理をしています。
ニッケルの比率が高い方が、優れた耐食性を示すのですが、ニッケル比率が高くなるほど皮膜が硬くなり、2次加工によって被膜が割れてしまったり、曲げなどの応力ではがれてしまったりなどの問題が発生しやすくなります。
また、クロメート処理は通常のクロメートと、黒色のクロメートの2種類があります。通常のクロメートも業者によって色味に違いがあります。クロメートの処理時間による違いだったり、ニッケル比率の違いによっても色味が変わったりします。サン工業では、青~紫の仕上がりになっています。原理としては「亜鉛めっきの三価有色クロメートの外観」をご参照ください。
亜鉛ニッケル合金めっきの黒色
亜鉛ニッケル合金めっきの黒色は通常のクロメートとは違った原理で黒色にしています。黒味を決めているのは、合金成分のニッケルです。クロメート処理の時に、ニッケル成分を黒くすることで、表面を黒くしています。この黒味をきれいに出すことは、業者の腕の見せ所といえるかもしれません。また、黒味を出すためにニッケル成分を利用するため、クロメート処理時に通常のクロメートよりめっき皮膜を溶解しています。そのため、耐食性においては、通常クロメートの方が黒色クロメートより優れています。色を取るか耐食性を取るか、製品用途に合わせて採用されていくのでしょう。
更に優れた耐食性を持つ被膜も研究されているといわれます。溶融亜鉛めっきに並ぶような耐食性が、めっきで実現出来たら面白いかもしれません。