すずは柔らかい金属なのですが、すずめっきを曲げると割れてしまいます
- 機能
すずは銀白色で非常に柔らかい金属で、かつ電気伝導性もよいので、銅素材に対する接点部品に多く用いられます。すずをめっきした後、曲げカシメでハーネス(銅線)をカシメて止める使い方もあるのですが、この時にめっき皮膜が割れてしまうことがあります。
お客様からのお問い合わせで、「すずは柔らかい金属なのに、なぜ割れてしまうことがあるのか?」というご質問を受けるケースが多く寄せられます。実は、めっきは、ニッケルめっきも亜鉛めっきもすずめっきもそれ自体はさほど硬くないのですが、外観の平滑さを向上させ、光沢感や見栄えをよくする目的で光沢剤というものが微量に添加されており、この光沢剤成分がめっき皮膜の結晶のズレをくさびのように止めてしまうため、めっき皮膜が硬くなり、曲げカシメでクラック(割れ)が発生することがあるのです。
サン工業の場合、すずめっきは、光沢すずめっき(酸性浴)、無光沢すずめっき(アルカリ浴)、無電解すずめっき(酸性浴)の3種類をめっきしており、このうち、無光沢すずめっきや無電解すずめっきは曲げカシメでの割れやクラックは発生しません。
逆に、挿抜のあるピン形状の端子などは、耐摩耗性向上のため、光沢すずめっきを使った方がよいケースもあります。お客様のご使用用途に応じてベストなめっきを提案させていただきます。
図:SPCCの板に10μmめっきし、90度に折り曲げた部分を電子顕微鏡で観察
めっきのサンプル・試作についてお気軽にご相談ください。
サン工業ではサンプルめっきのご相談をお受けしております。
めっきの開発案件、改善案件など、お客様の課題解決にお役立てください。
*内容によってはお受けできないものもございます。要ご相談にてお願いいたします
機能の記事を見る
-
機能サン工業の硬質銀めっき(Ag)
-
機能自動車部品に活用されるめっき
-
機能黒いめっきの表面|亜鉛めっきの黒色クロメート【三価、六価】、亜鉛ニッケルめっきの黒色クロメート
-
機能潤滑無電解ニッケルめっき(PTFE複合無電解ニッケル)にはどういうふうにテフロンが取り込まれている?
-
機能アルミニウム材料の前処理での板厚減少
-
機能亜鉛めっきの三価有色クロメート外観
-
機能厚付けシュウ酸アルマイトの寸法変化量はどのくらいでしょうか?
-
機能黒いめっきの表面(黒色無電解ニッケルめっき)
-
機能黒いめっきの表面(黒クロムめっき)
-
機能めっきによる寸法変化(めっき、アルマイト編)
-
機能亜鉛めっきのウィスカー(ホイスカ)対策
-
機能すずは柔らかい金属なのですが、すずめっきを曲げると割れてしまいます
-
機能アルマイトと無電解ニッケルめっきの塩水噴霧耐食性(アルミニウムへの表面処理)
-
機能マイクロポーラスクロムとシールニッケル、ジュールニッケルの違いって?
-
機能黒色めっきの耐熱変色性は?
-
機能特殊素材(ステンレス)へめっきはできる?
-
機能耐熱性のある黒色表面処理ってある?
-
機能硫酸アルマイトとシュウ酸アルマイトの違いってなに?(アルミへのメッキ加工)
-
機能無電解めっきってニッケルだけなの?
-
機能ニッケルめっきの種類って?ニッケルめっきの種類と特徴
-
最新一覧
-
カテゴリ別に見る