アルミダイカストへのめっき
- アルミニウム
アルミダイカストとは
アルミダイカストはアルミニウムを溶かして金型に流し込み、冷却して製品を作る技術です。
鋳造とは異なり、高圧で急速に金型内にアルミ溶融液を送り込むことで、薄い形状でも精度よく成型することができると言われています。溶融アルミは流動性がより求められるため、アルミ以外の元素が添加された素材が用いられています。
ほとんどのアルミダイカストはADC12と言われる材料が使用されていて、ダイカスト性だけでなく、機械的特性が最も扱いやすく、自動車部品にも多く使用されています。
同形状を大量に生産するのに優れた生産方法
アルミダイカストは金型を使用して成型していくため、同形状の製品を大量に生産するのに優れた生産方法です。そのため、切削加工で形を作るよりも「コスト」「生産速度」に優れています。
但し、成型方法による制限として、サンドイッチした金型を抜く際に引っかかるような形状は作れないため、鋳造姿勢を工夫したり、別途加工が必要になります。
鋳肌面に離型剤が残っていると、めっき処理に影響が出てしまうことも
寸法精度が求められる部分はダイカストで削り代を残して成型し、最小限の切削加工で寸法精度を確保することが行われています。ダイカスト成形品は金型からの離型性を高めるため、金型表面に離型剤が用いられます。製品の鋳肌面に離型剤が残っていると、めっき処理に影響が出てしまうことがあります。
アルミダイカストへのめっき
サン工業では通常のアルミと同等にアルミダイカストにめっきが可能
アルミダイカストに主に使用されるADC12は、アルミニウムにケイ素と銅を添加した合金になります。めっきの際はこれらの添加元素に対して適切な処理をしなければなりません。
サン工業では、アルミダイカストにも対応できる工程を完備し、通常のアルミと同等にめっきをつけることが可能です。10万個/月以上のアルミダイカスト製品を処理していた実績もあります。自信をもって、めっきを提供させていただきます。
アルミダイカストの基本めっき
ジンケート処理 + 無電解ニッケルめっき
アルミニウムはそのままではめっきをすることができず、溶解してしまうだけなので、まず表面に亜鉛置換を行います。その上に無電解ニッケルめっきを行い、密着性を確保しためっきが可能となります。
アルミダイカスト 最表面のめっき(様々なめっきが可能)
サン工業ではアルミダイカストに無電解ニッケルめっきをした上にその他のめっきをつけることが可能です。
特徴・機能 | 用途例 | |
PTFE複合無電解ニッケルめっき | 滑り性・離型性 | 金型の耐久性、離型性の向上 |
低リン無電解ニッケルめっき | 寸法安定性・硬さ・ はんだ濡れ性 | 摺動部品の長寿命化 はんだ接合 |
電気ニッケルめっき | 装飾性 | 外観部品の装飾度の向上 接合性確保 |
黒色無電解ニッケルめっき | 反射防止・装飾性 | 光学部品のハレーション防止 装飾性の向上 |
電気ニッケル装飾クロムめっき | 装飾性・機械特性 | 外観部品の装飾度の向上 表面粗さ高精度化 摺動特性の向上 |
硬質クロムめっき | 硬さ・耐久性 | 摺動部品の長寿命化 |
アルミダイカストへのめっきでよくある質問
質問1 アルミダイカスト材へめっきができるの?
サン工業ではアルミダイカスト材にいろいろなめっきが可能です。
アルミダイカスト材は湯の送り口からの空気の巻き込みや、離型剤の影響で鋳巣と呼ばれる巣穴が発生します。この巣穴がめっきに大きく影響を与えます。サン工業では試作対応にて条件出しを行い、量産につなげることが可能です。(ADC12は多数実績がございます)
ただ、鋳巣は極力ないもしくは最小限にしていただくことでめっきの品質は向上します。鋳肌面は離型剤の影響を受けます。離型剤成分が黒い異物として残留し、めっきを阻害する事例があるため、バレルやブラストなどの物理的処理を行って除去をすると、鋳肌面もきれいにめっきすることができます。(バレルやブラスト処理はサン工業内では対応しておりません)
質問2 アルミダイカスト材は黒いめっきができるの?
黒無電解ニッケルめっきに対応できるため黒色めっきができます。
質問3 ADC12以外のダイカストにもめっきできるの?
もちろんめっき可能です。ADC14やHT-1などの高熱伝導性材料へもめっき実績がございます。近年熱管理が重要になる製品が増えています。放熱部品へもめっきが可能ですので、他部品との接合にめっきを活用いただけます。
サン工業のアルミダイカストへのめっき設備
浴種 | タイプ | 対応サイズ | 対応重量 |
無電解ニッケル テフロン複合無電解ニッケル 低リン無電解ニッケル 電気ニッケル | 自動ラック | 800×800×350H | 20kgまで |
無電解ニッケル 黒色無電解ニッケル テフロン複合無電解ニッケル 光沢スズ 金 銀 | ラック | 400×150×500H | 5kgまで |
低リン無電解ニッケル | 自動ラック | 1150×200×500H | 10kg |
アルミダイカストへのめっきのお問い合わせ・ご相談
アルミダイカストへのめっきのご相談をお受けしております。めっきの開発案件、改善案件などお気軽にご相談ください。
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