サン工業株式会社

めっきQ&A

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無電解ニッケルめっきのザラ【FIB(収束イオンビーム加工装置)の活用その3】

  • 無電解メッキ

FIB(収束イオンビーム加工装置)によるザラの観察

 めっきの断面観察を行う場合に、いままでの樹脂に埋め込んで研磨をしていく方法だと、0.1㎜くらいの大きさの異物であればなんとか削り出すこともできたのですが、10μm、1μmといった大きさの異物は通常、埋め込み研磨で確認することはほぼ不可能です。

 ただ、無電解ニッケルめっきの場合には、非常に小さい異物の埋まりこみによって、いわゆる「ザラ」という半円形の凸が発生しやすくなっています。このザラは単位面積あたりに多数発生してしまうと、外観のクモリやひっかかり、光沢不良となってしまいますので、どういう原因でザラが発生しているのか、その原因物質(素材のスマット、介在物、付着した金属カスやバリなど)を迅速に特定することが品質改善の最優先課題となります。


鉄系素材上に無電解ニッケルめっきした製品表面に発生したザラの原因調査

 FIBは数ミクロン以下のナノオーダーで断面加工を行うため、ザラの凸を狙って、その断面をカットし、埋まりこんでいる異物を観察することが可能な加工装置です。今回は鉄系素材上に無電解ニッケルめっきした製品の表面に発生したザラの原因調査の一例をあげたいと思います。

 下の写真はザラを上から観察した画像になります。ザラの大きさは約10μmで、大きさとしては小さい部類ですが、多数発生することで外観が曇って見えてしまっていました。



ザラの原因となっている「核」をFIBで調査

このザラの原因となっている「核」をFIBを使って調査してみたいと思います。狙いは上の写真の真ん中の上にある円形状のザラです。

サン工業のFIBはビームの出力に応じて、13個のビームを備えており

  1. 荒加工でザラの手間に四角い穴をあける
  2. 見たい断面を中加工で削り出す
  3. 見たい断面をファイン加工で平滑に削り出す

という基本的には3ステップ(約1時間)で観察まで持っていくことができます。

下の写真が加工後の状態です。


ザラの断面


 この断面を拡大して観察すると、中央部に異物が確認できました。最終的には、このサンプルを電子顕微鏡の元素分析に入れて元素分析を行いますが、今回のザラについては、材料表面のバリの一部が脱落してザラの核になっていることが確認できました。異物の核の大きさはおおよそ1μmですから、通常の手作業での埋め込み研磨ではまったく確認できないレベルの大きさであることもわかりました。


中央部に異物を確認


不良原因の解析をご相談ください

 このような解析は、例えばA6000系材料のシリカ(Si)のスマットで発生しているザラや、ADC12材でのシリカ(Si)、真鍮材の切削バリ起因のザラのような非常に微細なものまで確認することが可能です。

 表面がざらついているが原因がわからない、角がひっかかるが原因がわからない、といったお困りごとがありましたら、ぜひ一度ご相談いただければと思います。課題解決にお役立てください。


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