硬質クロムめっきは皮膜が硬く、すべり性が非常に優れています。また、耐摩耗性や耐食性にも優れています。青みがかった光沢を有するため、外観目的にも使用されます。
基本特性
耐摩耗性 | 耐熱性 | 耐食性 | 耐薬品性 | 装飾性 | 潤滑性 | 密着性 | 電気伝達性 | 寸法精度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
◎ | △ | ◎ | ◎(塩酸を除く) | ◎ | ◎ | ◎ | △ | × |
特徴
特徴1高硬度、優れた耐摩耗性
硬質クロムめっきはめっきの中でもHv800~1000と非常に硬度が高く、耐摩耗性に優れています。
また、摺動性もよいことから、機械部品に多く使われています。
しかし、熱がかかると硬度が落ちる特性があり、400℃付近から急激に硬度が下がる傾向が見られますので、温度がかかる場合は注意が必要です。
優れた耐食性、耐薬品性
クロム表面に瞬時に酸化膜を形成することにより、銅より貴な電位をもち、優れた耐食性を示します。
塩化物には弱いものの、その他の酸には反応しにくく、耐薬品性にも優れています。
ただし、被膜にクラックと呼ばれる割れが生じるため、クラックから素地金属が腐食してしまうことがありますが、クラックを小さく細かくすることで腐食を遅らせることができます。
また、下地めっきを施すことでも耐食性を向上させることができます。
優れた離型性、厚メッキも可能
硬質クロムめっきは型離れしやすい特徴があるため、様々な型に用いられています。
また、厚めっきが可能で、肉盛りのために100μm程の厚めっきをすることもあります。
ただし、電流の分布によるめっき厚のばらつきが生じやすいため、特殊形状の製品には専用治具を作製し、処理を行います。
めっき設備
浴種 | タイプ | 対応サイズ | 対応重量 |
---|---|---|---|
Heef浴 | ラック | 1500×500×1000H | 150kg |
サージェント浴 | ラック | 1600×500×1000H | 150kg |
フッ化浴 | ラック | 1500×500×2500H | 150kg |
対応可能素材
Heef浴:鉄系、銅系、ステンレス系
サージェント浴:鉄系、銅系、ステンレス系、アルミニウム系
フッ化浴:鉄系、銅系、ステンレス系
想定用途
軸、シリンダー、ピストン、機械装置部品、レール、ピン、プレート、シャフト、パイプ、ネジ、ナットなど
関連する解決事例
-
超高硬度クロムめっきを開発しています。
-
窒化処理されたSCM材に対する硬質クロムめっき
-
製品の耐久性向上
-
アルミ材凹部へのクロムめっき付きまわり改善
-
客先工程を省略することによるトータルコスト低減
-
めっきを使って部品コストの削減
-
ハサミの長寿命化