通常のめっきは電源を用いて電気を供給してめっきしていますが、無電解ニッケルめっき(ELp-Fe/Ni)は製品表面の化学反応を利用してめっきを行います。そのため、皮膜厚さのばらつきが少なく、マイクロメートルオーダーでの膜厚管理が可能であることから、精密部品の表面処理に適しています。また、皮膜硬度が高く、熱処理を行うことで、Hv1000程度まで硬度を上げることもできるめっきです。
アルミ素材に対する最も密着性の良いめっきでもあり、各種めっきの下地としても用いられます。
基本特性
耐摩耗性 | 耐熱性 | 耐食性 | 耐薬品性 | 装飾性 | 潤滑性 | 密着性 | 電気伝達性 | 寸法精度 |
◎ | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | △ | ◎ | △ | ◎ |
特徴
特徴1高い寸法精度
無電解ニッケルめっき(ELp-Fe/Ni)は電源を使用しないため、電気の物理特性の影響を受けずめっき厚をコントロールすることができます。化学反応を利用するため、温度、pH、時間を管理することで均一なめっき厚を維持することができます。寸法精度を必要とするような部品に向いているめっきです。
特徴2熱処理による高硬度化
無電解ニッケルめっき(ELp-Fe/Ni)は熱処理(ベーキング)することで、被膜硬さを向上させることができます。400℃が最も硬くなる温度と言われており、熱処理前はビッカース硬さでHv550程度であるのに対し、熱処理によってHv700~1000程度まで硬くすることができます。
熱処理によって皮膜表面に酸化膜が形成されるため、酸化膜の厚さによって表面の色が黄色~紫色に変化します。
非磁性皮膜
ニッケルは磁性体ですが、無電解ニッケル皮膜は非磁性にすることができます。
浴液に必須成分として入っているリンが被膜中に取り込まれるため、無電解ニッケルの皮膜はニッケルとリンの合金になります。リンの共析率が7%を超えてくると結晶状態が非晶質と呼ばれる状態に変化し、非磁性となります。磁場が発生することを嫌う部品などに用いられるケースもあります。
めっき設備
タイプ | 対応サイズ | 対応重量 |
ラックA | 600×400×650H | 20kg |
自動機ラックB | 700×700×200H | 20kg |
自動機ラックC | 1200×400×900H | 100kg |
カゴ | 200×200×200H | 5kg |
自動バレル | - | - |
対応可能素材
ラックA:アルミニウム系、鋳物系(アルミニウム系のみ)
自動機ラックB:アルミニウム系、鋳物系(アルミニウム系のみ)
自動機ラックC:鉄系、銅系、ステンレス系、鋳物系(鉄系のみ)
カゴ:鉄系、銅系
自動バレル:(銅系)
想定用途
機械筐体、構造部品、ギアなど摺動部品、バルブ部品、金型、電子基板、プリンターシャフトなど
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