【第11回】「無電解」はサン工業の得意分野
- 「無電解めっき」初級編
サン工業の商品紹介を見ると、「無電解ニッケルめっき」とそのバリエーションが主要な位置を占めているようです。では、この「無電解ニッケルめっき」とは何なのか? またまた、開発課の河合さんに教えてもらいました。
河合さん! サン工業の新技術紹介・商品紹介には、「無電解ニッケル」とか、「黒色無電解ニッケル」、「無電解ニッケル―ホウ素」とか、「無電解めっき」というのがけっこう出てくるよね。カニボロンっていうのも、「無電解ニッケルめっき」の発展形だよね。
ということは、この辺の技術がサン工業の得意分野だというように理解してよいのかなぁ?
「そうですね、当社の柱になっている技術は他にもありますけど、無電解ニッケルめっきと、それのさまざま発展形が、力を入れている領域の一つだと言えますね。当社の製品の3~4割が無電解めっきですが、この比率は、めっき会社の中でも比較的高い方でしょうね。かなり以前から力を入れてきた領域ですから、品質にも自信があります。お客様からもそれを評価していただけているから、無電解めっきの占める割合が多くなっているのだと思います」
例えば、どういうものに無電解ニッケルめっきをしているの?
「精密部品の関係で例を挙げれば、ハードディスクカバーや、ハードディスクを押さえるクランプという部品、コイルサポートなどです。日本ものづくり大賞をいただいたプリンターのシャフトも無電解ニッケルめっきです。まぁ、どんなものにも無電解ニッケルめっきをしてみせますよ。自信があります」
めっきするものの材質は何でも良いの?
「大丈夫です。それが無電解めっきの特長でもありますからね。ステンレス、真鍮、アルミニウム、さらにセラミックスなどでもできます。特に、ステンレスの410―SUS410―のタイプはめっきを付けづらいのですが、それに密着が良いようにめっきできるのが当社の定評のある技術です。それから、無電解ニッケルめっきにさらに硬質クロームをつけたり、熱処理を施したりして、硬いめっきにすることも得意な技術だと思います」
なるほど。でも、初歩的なことを聞いて悪いけど、「無電解めっき」って普通のめっきと、どう違うの?無・電解なんだから、電気を使わないんでしょ?でも、どうしてそれでめっきができるの?
「え!?そこから説明しなくちゃいけませんか?私立文系はこれだから手がかかる(笑)。では、この次はそこからお話ししましょう」
企画・執筆/毛賀澤明宏
無電解ニッケルめっきしたHDD部品